1/31(水)に堺ビッグボーイズ総監督の阪長友仁さんが運営するオンラインサロンで勝亦陽一先生のセミナーを監督の富田と共に受講しました。
表題は「エビデンスを考慮した野球選手の育成と強化」でした。
勝亦先生からのお話は何度伺っても新しいデータが加わっていたり、新たな気付きを与えてくださる内容であったりと、とても充実した時間になります。
多くの皆さんに知っていただきたい内容でもあります。
終了後のディスカッションでは逆質問をいただくなど、インプットもアウトプットもさせていただく良い機会に恵まれました
ありがとうございました。
その中で
プロ野球の世界では、なぜ早生まれの選手がタイトルを獲得する割合が高いのか、長く野球を続けられるようになるのか…
相対年齢効果の影響から早生まれの選手の方が成長の遅い、身体の小さい選手の割合が高いので、身近な同級生に目標と出来る選手がいたり、彼らをどのように抑えよう・どのように打とうかを工夫したりするからではないかとのことで、周囲に説明したり話をしてきた内容がズレてはいませんでした。良かった。
諦めさせずに野球を長く続けさせるように大人の配慮と導きが大切だということを再認識しました。
私が心配しているのは逆の意味での大人の配慮の無さです。
遅生まれ?4月~6月生まれで重ねて早熟な選手のことの方が心配です。
現在は彼らが注目されやすいですし、そのアドバンテージを活かしてプロ野球選手までたどり着く選手が多く、それが正しいとされています。
早生まれの逆で目標とする選手は自分より年上の場合が多くなるでしょうし、その年上がいない状態で小学6年生・中学3年生・高校3年生を過ごすことになってしまうと思います。
対戦相手の多くが格下になるということにもなると思います。
投球数制限や投手と捕手の兼務を敬遠する流れなど、遅生まれ?4月~6月生まれで早熟な選手が酷使されたりすることは少しずつ減ってきました。
能力の先食いがルールによって減ってきた、つまりは大人の配慮があることで守られるようになってきました。
であればその逆の配慮もできるのではないでしょうか。
選手の長期育成に取り組む競技団体で一番参考にさせてもらっているのは日本陸上競技連盟で大人の配慮がある団体だと思います。
陸上競技の世界選手権出場選手は4~6月生まれ・7月~8月生まれ・9月~12月生まれ・早生まれの割合がほぼ25%ずつになるのに対して、プロ野球では4~6月生まれ35%・7月~8月生まれ30%・9月~12月生まれ20%・早生まれ15%となります。
先に述べたように早生まれにタイトルホルダーや長く競技を続けられる選手が多いことからも、いつ生まれたかで能力や実力が決まるわけではありません。
大人の配慮が必要である問題の一つだと思います。
前橋中央では、今一番向き合っていかなければならない問題であると考えております。
少しでも大人の配慮ができるような取り組みを増やしていければと思います。
毎月の身体測定、アプリ利用による身長予測、いつ頃自身が野球選手としてのピークを迎えられるのかの予測をした上で野球に取り組ませています。
詳細は入部説明会でお話しします。よろしかったらお話だけでも聞きに来ませんか。
選手の将来予測においては早熟な選手の方が酷なものになります。
身長の伸びしろが少ないことを知ったり、動作の巧みさなどを養う適齢期を逸してしまっていたり、現実を知った時にどう前向きにさせるのか…
この辺りは知らずに「体力=実力」で評価が決まったり、中3ピークを目指すやり方の方が幸せかもしれませんね。
彼らには、いかに焦って野球も様々なトレーニングにも取り組んでいかなければならないか、意識付けを続けています。
更には「衰え」に関しても早熟な選手の方が統計的には早いのではないかとの見識を伺うことができました。
(以下備忘録的に)以前、ドクターに質問した際に早熟と老化について、関係があるとすれば酸化と糖化では?医学的にも、酸化と糖化は老化と深い関係がある。経験的にも、例えイチローのように、早くから活躍した選手でも均整の取れた体格の選手は選手生命が比較的長く、松坂のようにポッチャリ体型の選手の方が選手生命が短い印象。根底にはGH(グロースホルモン)やIGF1(インスリン様)成長因子が関与している。
不自然な食事過多がGHやIGF1の分泌に影響を及ぼし、(未熟児の早期キャッチアップグロース児に成人病発症が多いように)早期の老化、選手生命を短くするといった事と関連があるのかもしれない。
単に、背が高い、性成熟が早いという事と早期老化との関連は医学的にはおそらく無いと思う。とのことでしたので統計的な側面からのお話は参考になりました。
やはり節制というか、アスリートとしての根拠ある身体づくりが大切かと。
最後になりますが、入部説明時に大人の配慮が足らない世界で競技をしていかなければならない、それに対して正しい知識を得て保護者も選手も共有することが大切であるという話を強くさせていただきます
厚労省の資料から成長スパートのことを説明しています。
その時期を迎えるのに4~5歳程度個人差が生まれます。
平均身長は国の統計から導き出すことができ、成長期に関しては4~5歳程度個人差がある中での平均身長ということになります。
成長スパートの時期からその先の将来を予測することが大切になります。
そこから考えていくと平均身長をある程度上回ることができる選手が、高校3年生の夏までにある程度身体が成熟し、ある程度大人の身体に近づいた力強さや骨格を身に着けて試合に挑むことができる、つまりは高校野球を楽しめる選手になるのではないかと考えております。
平均ということは50%が平均より上で50%が平均より下ということになりますので半数近くの高校球児は自身がどのような選手になったのかを認識する前に高校野球を終えることになるのでは?高校野球を楽しむことができずに終えることになるのでは?と説明しています。
二人に一人...
高校野球を楽しめて、実はそのころにある程度選手のピークを迎える選手の割合と、高校野球は楽しめないけど大学や社会人になってからある程度選手のピークを迎える選手の割合はそうは変わらないはずです。
高校3年生時に焦ってドラフト指名に至らなければならない選手とその時点では焦らずにもっと先にドラフト指名に至ればいいやという選手の割合は似たようなものなのではないかと思います。
その現実を知った上で自身の将来予測、毎月行う目標設定トレーニングを続けていかなければなりません。
そして保護者も共通認識を持ち、現場スタッフはより毎日の活動で選手のバックアップをしていかなければなりません。
さらには陸上競技連盟やバスケットボール協会のように選手の長期育成に舵を切っている競技団体から大人の配慮について学べることは多く、野球に前橋中央の運営に取り入れていかなければならないと思いました。
勝亦先生、阪長さん、貴重なお話と貴重な機会をありがとうございました。
代表理事
春原
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